山梨県の節分

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つい先日に2014年を迎えたと思ったら、もうすぐ節分です。
我が家に限らず、無邪気な子供達に力一杯豆を投げつけられるお父さんは多いかと思います。
そんなお父さん方は「節分」にはどういう意味があるのか、甲府の節分といえば大神さんがありますが、その歴史や文化についてどこまでご存知でしょうか?
よくよく考えれば、それを知らずして鬼の役回りをするのも納得がいきません(笑)
そんな訳で今回は「節分」について調べてみました。

甲府の大神さんといえば、湯村の厄地蔵さん、太田町の正の木さんと並んで、甲府三大祭といわれる大きいお祭りです。
先月号のマチコレ!1月号に掲載した座談会の中でも、大神さんの話題が出ていました。
柳町の大神さんは昔古府中の方にあった高野家の屋敷神さんが由来だというお話でした。

甲府で高野家といえば吉字屋の高野孫左衛門さんです。確かに吉字屋さんの本店は柳町大神宮のお隣ですし、そちらの鬼は毎年ガソリンスタンドのスタッフの方が扮しているという話も聞いたことがあります。
吉字屋さんといえば初代が信玄公からの命で越後から塩を運んだことが有名な名家で、武田家の時代の中心地であった武田神社の辺りにお屋敷がありました。
江戸時代に中心地が舞鶴城に移り城下町となった後、そのお屋敷の神様を広く大勢の方へというご意向で柳町の今の場所に移され、大神宮を作られたとのことです。

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では横近習町大神宮の方はというと、元は武田氏の伊勢信仰の基として創社され、元禄といいますから江戸時代、今から400年以上前に今の場所に作られたそうです。
お伊勢参りできない人も、横近習大神宮に参れば、伊勢神宮に参ったのと同じということらしいので、私もこれからは事あることに参拝しようと思います(笑)

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そんなふたつの大神さんの節分のお祭り、正式には「柳町大神宮節分祭・大神宮節分祭」というそうで、毎年横近習の大神さんのある中央2丁目から柳町の大神さんのある4丁目までの通りが通行止めになり、銀座通りまで露店が並び、追儺式の豆まきでお宮を追われた鬼たちがその中を練り歩きます。
それを見て子供が泣くという光景が町のあちこちで見られますよね。
ちなみに柳町の鬼は赤と青、横近習の鬼は町内の方が扮していて全身赤と緑とのこと。

ふたつの大神さんのどちらが先にできたのかなど、詳細までは確認できなかったのですが、甲府の節分のお祭りがこれほどまでに盛大なのは、ふたつの大神さんが比較的近い場所にあり、それを結ぶ通りが甲府の中心地に近かったことが大きく影響していそうですね。
江戸時代の柳町界隈は職人や商人たちが暮らした下町としての顔以外にも、甲州街道の宿場町としての顔もあわせもっていました。
芝居小屋が何件も建ち、江戸から有名な歌舞伎役者が公演に来ることもあったそうです。
そんな華やかな街の北と南に位置するお宮のお祭りが同じ日に開かれるとなれば、集まる人は2倍3倍と膨れ上がるでしょう。

私も子供の頃は親に連れられてお祭りに行った記憶があります。といっても、露店で買い食いすることに夢中で、お宮や鬼の記憶はあまりないのですが……(苦笑)
他のお祭りでも見られるわた飴やりんご飴、焼きそばやたこ焼きのお店だけでなく、だるまや熊手などの縁起物、切り山椒やかや飴を売るお店があるのは印象に残っています。

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それから子供にとって大神さんといえば、なんといってもガラガラですよね。
大きな三角形の空洞のお菓子の中に鈴とおもちゃが入っているガラガラは、大神さんでしか見かけたことがありません。甲府独特のものなのでしょうか?
とにかくお菓子とおもちゃが一緒になってるなんて、子供にとっては夢のような話です(笑)

節分は四季の節目、旧暦でいえば新年を迎える前の大晦日にあたるこの日に、豆をまいて鬼を払い、新たな気持ちで新年を迎える行事。
節分に限らず、さまざまなお祭りや風習は必ず意味があります。
日本の四季は美しく時に厳しいですが、自然と寄り添って生きてきた日本人の思いがこれらの風習には詰まっているのですね。
先人達がいて今の自分があるわけですから、このような文化を後世に伝えていくのは、現代を生きる我々の義務なのだと感じます。
今年は子供たちと一緒に大神さんに行って、節分やお祭りの意味を一緒に考えてみたいと思います。
もちろんガラガラも(笑)大切な文化として伝えたいですね。


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なぜ切り山椒食べるの?
山椒が実や葉、幹などすべて利用できるので縁起がよく、薬にもなることから厄除けになるということのようです。

イワシの頭をヒイラギの枝に刺したものを玄関に飾るのはなぜ?
鬼の嫌いなヒイラギのトゲとイワシの臭気で邪気を払うという意味のようです。


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節分草の群生地

節分草ってご存知ですか?2~3月に直径2cmほどの白い花を咲かせる多年草です。

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早春に芽を出し節分の頃に花を咲かせることから命名されたとのことですが、乱獲や自生地の環境破壊によって希少植物になっているとのこと。

そんな希少な花が山梨県でも見られる場所があります。

市川三郷町の芦川駅から芦川沿いに県道36号線を上り、東京電力の水力発電所の第三発電所を過ぎた辺りにある、古宿バス停が目印です。

途中で千波の滝という高さ80mの滝も観ることができます。冬期は氷結しており、清楚な美しさを見せています。

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バス停のすぐ横にあるお宅の私有地が群生地となりますが、地主さんのご厚意により開放されています。
見学の際にはくれぐれもマナーを守ってくださいね。

私が伺った時はまだ芽が出たばかり。1月中旬ですから当然ですが・・・。

山梨で節分といえば、大神さんと並んで、身延山久遠寺の豆まきもまた盛大で有名です。そのころにはかわいらしい花が見られるはずですので、訪れてみてはいかがでしょうか。