花子とアンから当時の甲府を探る

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NHK連続テレビ小説「花子とアン」にハマっております。
甲府にゆかりのある村岡花子さんの半生を描いた「アンのゆりかごー村岡花子の生涯」が原作ということで、根拠の無い使命感から見始めたのですが…
おもしれぇじゃんけ!


視聴率も好調のようで、過去10年間で一番の平均視聴率だった前作「ごちそうさん」を抜く勢いということですから、全国で甲州弁ブームが起こるのも時間の問題…かも??

村岡花子さんは1893(明治26)年生まれ。幼少期を甲府で過ごしたのち、一家で東京へ引っ越しミッションスクールへ入学。1914(大正3)年に甲府へ戻り、現在の山梨英和中学校・高等学校の教師となります。
その後は東京の出版社へ就職し故郷へ戻ることは無いので、甲府での生活期間はそんなに長くないのですが「私の青春時代の思い出は、甲府とともにあるといってもいい」と村岡さん本人も言っており、短いながらも大変充実していたことが想像できます。

花子とアンでは明治から昭和にかけての様子が描かれる訳ですが、以前よりこの時代の甲府に大変興味を持っていた私にとって、今回のドラマはとてもタイムリーでした。
日本は戦争の後、信じられないようなスピードで復興を果たし、世界に誇れる先進国となりました。

しかし、豊かになった一方で、失われたものもあるのではないでしょうか?

少子高齢化によって人口が急激に減少していくこれからは、その失ったものがとても重要になってくる気がしてなりません。
失われたものが何なのか私も具体的に言い表すことはできませんが、そのヒントがこの時代に隠されているような気がするのです。
花子とアンを毎日見ることで、その思いが日に日に強くなってくる私は、村岡花子さんが過ごした時代の甲府について調べてみることにしました。

まず気になったのが村岡さんの生家の場所。
和田平町、寿町、竪近習町とさまざまな説があるようですが、確かな記録は残っていないようです。
村岡さんの本名は安中はな。8人兄弟の長女ということです。クリスチャンだった父の影響で2歳の時に幼児洗礼を受けています。洗礼を受けたのは甲府教会とのこと。
大正11年の地図だと甲府教会は赤点の場所となりますが、大正4年に取り壊されたということで地図上にはありません。

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教会があった場所に行ってみると、今は駐車場になっていました。
地図を見る限り、当時この辺りは櫻町という町名だったようで、東側は竪近習町、南側は紅梅町と記されています。

平成25年9月号のこのコーナーで弊社本店の所在地である「相生」の歴史を紐解いた際に、昭和の大合併以前の相生二丁目は泉町や二十人町、代官町、佐渡町と呼ばれていたことを知り、なぜこんなにも情緒のある名称を変えてしまったのかと残念に思いました。
旧櫻町や旧竪近習町、旧紅梅町は現在中央二丁目となっていますが、やはり私個人としては昔の町名の方が好みです。
これらの旧町名も辛うじて通りの名称として残っていますが、そのことを私と同世代の人たちがどれぐらい知っているのでしょう?

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先に述べた「失われたもの」は「旧町名」ということではないですが、何だか妙に引っかかります。

明治22年に甲府市が誕生してから幾度かに渡り全国的に市町村合併が行われ、その中で旧町名は消えていきました。
特に戦後の昭和の大合併は新制中学校の設置管理、市町村消防、自治体警察の創設、社会福祉、保健衛生関係などが新たに市町村の事務とされ、増大した行政執行の財政確保のために、市町村を適正規模に拡大する必要があったということです。
しかし、逆に21世紀の今、デジタル化や情報インフラの発達により、旧町名をそのまま使っても行政の業務効率は妨げないのではないでしょうか?
ちなみに教師生活を送った英和女学校は現在も山梨英和中学校・高等学校として同じ場所にあり、愛宕町という町名も変わらなかったようで何よりです。

今回は「花子とアン」というテレビドラマがきっかけで、村岡花子さんが過ごした当時の甲府をちょっとだけ調べてみましたが、もっともっと当時の甲府の様子が知りたくなりました。
皆さんも村岡花子さんに縁のある地を歩くガイドブックと昔の地図を片手に、当時の甲府城下町の面影を追いながら「花子とアン」のように想像力を膨らませてみてはいかがでしょうか?

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村岡花子さんが暮らした時代を思い浮かべながら町歩きをするのならば、こちらのガイドブックを参考にするとこぴっと歩けます。甲府駅の観光案内所や県立文学館ミュージアムショップで購入できるほか、ニュースコムでも取り扱っています。
また、県立文学館では「村岡花子展 ことばの虹を架ける ~山梨からアンの世界へ~」を平成26年6月29日(日)まで開催しています。
こちらもオススメですよ。

村岡花子フットパスガイドブックと村岡花子ストーリーガイドブック 定価各100円(税込)