石原農場 石原慶一さん
朝晩と日中の気温差が激しい今日この頃ですが、皆さんは体調を崩されてないでしょうか?
さて、以前に山梨中央青果株式会社の遠藤さんを取材させていただいた時(5月号)に、甲府市産のナスが全国的にも評価が高いと伺いました。
その件がずーっと気になっていた私は、生産者の方からお話を伺いたいと思っていたのですが、今回はそんなワガママに甲府市小曲町で農業を営む、石原農場の石原慶一さんが応えてくださいました。
一番美味しいんですよね(石原)
皆さんは小曲町のある山城地区が、農業用に区画整理された土地ということをご存知でしたか?
確かに地図で見るとキレイに整理されています。石原さんのお話によると、農業で最大のポイントは水で、山城地区では蛇口をひねれば田畑にすぐ地下水を供給できる環境が整っているとのこと。
また、甲府市では珍しい平地ということから、日照時間も長く、作物を育てるにはとても良い環境なのだそうです。
「ですから、山城地区の茄子は薄皮肉厚で美味しいんですよ」
なるほど。県下一の生産量を誇る茄子はそうやってつくられているのですね。
しかも、今は名の知れたブランドとなっているトウモロコシや野菜も、最初はこの地で実験的につくられることが多いそうですから、山梨の農業の中心地と言っても過言ではありません。
石原さんは甲府市生まれの甲府市育ち。農家に生まれ、現在は家業を継いでいますが、本気で農業に携わろうと決意したのは、小学校の先生の意外なひと言がきっかけでした。
「子どものころに将来の夢を作文に書かされるじゃないですか。それに農業と書いたら先生に『夢はもっと大きく持て』と言われたんですよ」
子どもながらに、農業が簡単、誰でもできると思われていることを悔しく思った石原さんは、真剣に家業を継ぐことを考え始めたそうです。石原さんはその悔しい思いを糧にし、農業を勉強して家を継ぐ訳ですが、はじめはボタンひとつで作物が育てられる、そんな農業の近代化を夢見ていたそうです。
「やっぱりスーツをバシッと着て、格好良く仕事したいじゃないですか」
そんな世界があるのかと驚きましたが、農業大学ではそういう研究も行っているそうです。
「でも、いろいろ試しましたが、やっぱり親父がやってきたやり方が一番美味しいんですよね」
そう言う石原さんはとても嬉しそうです。
最近は日本の食料自給率の低下から、行政も農家を増やそうと努力をしていますが、小曲町も後継者不足は否めないようです。
しかし、お話を伺っていると、自給率の低下は単純に農家の戸数を増やせば良いという訳ではなさそうです。
例えば自宅から車で10分以上の山間部にあり、収穫した野菜を運び出すのに時間と労力がかかる畑と、平地で車が横付けでき、自宅の目の前にある畑とでは生産性が全く違います。そう考えると、同じ休眠畑で も生産性の高い畑を有効活用した方が良いでしょう。
農業は決して楽なものではありません。若い方達にハードルを下げて参入を促しても長続きしない恐れがあります。だとすれば、農業に取り組みたい若い世代に、生産性の高い休眠畑を優先的にマッチングさせる仕組みで農業の門戸を広げることが必要なのではないかと石原さんは仰います。
生産性の高い休眠畑は山梨県内にどれぐらいあるのでしょう?その中で、農業に携わりたい若者達に対して我々は何が出来るのでしょう?県内の食料自給率を上げるには、まず何をするべきなのでしょう?
石原さんのお話を伺う中で、私はまず、明日行くスーパーで、改めて食料品の生産地を確認するところから始めようと思いました。
■石原 慶一 / 農業家
石原農場二代目。
小曲観光いちご組合員として、日本有数の日照時間に恵まれた、美味しいいちごの里を県内外へPRすることに力を注ぐ熱血農業家。
経営理念は「先祖代々の土地と家族を守る」。
小曲町は県内最大級のいちご狩り圏で、石原農場はマチコレ!表紙のスケッチ(2013年3月号)のモデルとなった農場です。
そんな縁から小曲観光いちご組合さんが作成したパンフレットでは、表紙のスケッチが使われています。
■小曲観光いちご組合
お問合せ : JA甲府市(平日のみ) TEL 055-223-9609 FAX 055-243-2611
入園期間 : 平成25年1月13日~5月中旬