旧町名を復活させたい~山宮町・羽黒町〜



2月は甲府三大祭でもある、大神宮祭と厄除け地蔵尊祭の時期。大神さん、厄地蔵さんと呼ばれて親しまれ、甲府市民なら誰もが1度は訪れたことがあるはず。
そして、厄地蔵さんが終わると春の訪れを感じるのも、甲府市民ならではの感覚ですね。
いよいよ3月。このまま大雪が降らないことを祈ります。

 さて、2019年は、武田信虎公が川田町から躑躅ヶ崎へと館を移してから、500年目となる節目の年です。さまざまなところで行われている「こうふ開府500年」のイベントは、「2019年に開府から500年目を迎える」という事実を知って貰うことが目的では無く、節目の年を切っ掛けに「我が町甲府」の歴史を知り、誇りを持ち、「これからの甲府」について皆で考えていくことに重きが置かれています。少しでもその思いが伝わるよう、私もこの「旧町名を復活させたい!」で、お手伝いが出来ればと思いつつ、今月は山宮町と羽黒町の歴史を紐解きます。


 山宮の歴史は大変古く、戦国期の地名に見られます。江戸期からは山宮村となりますが、由来は当地の大宮神社が、金竹村大宮神社の山宮であることに因みます。
 「山宮」とは山を神体とする神社で、2ヵ所の祭場をもつ場合、山頂や中腹などの高いところにある方の祭場をいいます。それに対して、山の入口や里にある祭場を里宮といいます。社記には、羽黒、千塚、荒川、金竹、上飯田、下飯田等の本宮だったと記されています。明治8年には大宮村の一部になるものの、明治後期から昭和初期までは大宮村の大字として存在を示し、昭和17年に山宮町となります。


 地内にある光沢山青松院は、大永二年(1522)に武田信章によって創建された名刹で、祖先である山宮信安が館を構えていた地に信虎の助力を得て開山。山宮一族の菩提寺としたのがはじまりとのこと。
 甲斐の観音霊場めぐり三十三番の最後で、結縁の札所となり、本尊の十一面観音像は県指定文化財になっています。本堂北側にある、室町様式を復元した庭園も美しいですが、私は個人的に本堂前に安置されている合羽地蔵の愛らしさがとても気に入りました。


 羽黒の由来は、羽は「埴」で土を意味し、当地の土壌が黒いことによると甲斐国史にあります。なぜ「埴(はに)」が「羽」になったのか分かりませんが、元々は「埴黒(はにくろ)」と呼ばれていたのでしょうか?(O_O)
 江戸期から明治初期にかけて羽黒村、その後は大宮村の大字となり、昭和17年に羽黒町となります。地内の竜源寺は弘法大師と縁が深く、かつては雨乞いの際、弘法大師の石像を境内の池に沈めて祭りを行っていたとのこと。


 また、弘法大師が行脚の途中、同寺で一休みしようとして、そこで芋を洗っていた老婆に芋が欲しいと頼んだところ、老婆は食べることができない「石芋」だと嘘をつきました。すると本当に芋が石になり、食べられなくなってしまったという伝説が残っています。(・0・)


 羽黒大宮神社は旧羽黒村の産土神(うぶずながみ)で、大宮七社大神と称し、大同2(807)年に千塚村から移し祀ったと伝えられています。
 境内には巨石が沢山あり、神の降臨する磐座(いわくら)ではないかと考えられています。


 神社の裏手にある山は羽黒山あるいは天狗山、荒木山、明峰山などと呼ばれ、山頂にはおてんぐさん古墳と呼ばれる直径約30m、高さ約6mの積石塚古墳があり、御神体とされています。
巨石好きで、金峯山の五丈岩を崇めている私は興味津々。あらためて見に行こうと思います。(^_^)


 今回の記事トップの写真は昭和33年に山宮町から羽黒町方面を撮影した風景で、右上の山裾の家並みは湯村温泉郷です。元々山宮や羽黒は農業が盛んで、甲府藩主柳沢吉里の命により、甲州ではじめて西瓜をつくったり、稲作には荒川の水利が用いられ、江戸末期にはその堰の水勢を使って水車による精米業も発達。毎日精米俵を荷馬車に積み、関屋往還を通じて、甲府城下佐渡町の甲府精米市場へ出荷していました。
 大きく状況が変わった切っ掛けは終戦です。甲府空襲を免れた山宮町や羽黒町は、急激に戦災者や引き揚げ者を受け入れ、人口の増加が著しくなり、新興住宅地として発展します。
 2枚目の写真はは、山宮ハイタウンから羽黒方面を撮影した現在の風景で、山の形が唯一の面影となっています。
 約60年でこれだけ風景が変わるのですから、60年後にどうなっているのか想像が出来ませんが、どうしたいのかを考えて、行動に移すことは出来ると思います。皆さんは「これからの甲府」が、どんな町になれば良いと思いますか?(^_^)b

文:川上明彦

今回ご紹介した山宮町、羽黒町の歴史スポットは、全てバス通り沿いにあり、甲府駅バスターミナルの4番のりばから「山宮循環」へ乗車すれば行くことが出来ます。
竜源寺と羽黒大宮神社はバス停「羽黒町」、青松院は「山宮北」、山宮の大宮神社は「山宮公民館」で下車すると便利です。

参考資料:山梨百年、甲府市HP、角川日本地名大辞典

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です