少し面倒でも書くことで自分の本音に迫る
『理解という名の愛がほしい』

テレビ、新聞、ネット環境を通じて膨大な情報に飲み込まれる毎日で、自分でゆっくりと考える時間を失いがちです。一時的にいい情報を耳にして得した気分になっても、自分の身になったような気がしないということはありませんか。そんな時は「自分の生身の言葉」との対話に行き着いていないからということもあるかもしれません。▼著者は全国各地で表現教室のワークショップする人です。この本は「自分にうそをつかないで」考えて、その想いを表現することで、自分自身を見つめ直し、そこから「人とつながる」ことを綴ったコラムです。著者自身の悩み苦しみから見出したことから、自分の心の底にあった気持ちに気づく様子など切実さに溢れています。その痛みが伝わってくるとともに、そこを自分で何かに書ききることで、自らが外に向かってひらかれていくことが分かります。▼一度、立ち止まって考えることで、ふっと力がぬける瞬間があるのだと思いました。

山田ズーニー(著)
河出文庫 640円(税別)