家族も友人も同じなのに全てが違う世界
『おれからもうひとりのぼくへ』

子供の頃は水たまりや鏡に映る自分を見て、この向こう側にはまた別の世界があるのではないかと想像した人も多いのではないでしょうか。今回の本は自転車での衝突から、突然にパラレルワールドに入ってしまった少年の本です。そこは家族や友達も見た目はそっくりなのに、性格や口調がまったく違った世界でした。▼いつもの日常とは違う、もう一人の自分が生きている世界です。おかしなことが次から次へと巻き起こり、驚きの連続の冒険が始まります。そこで少年は何を見つけたのでしょうか。▼著者の相川郁恵さんは甲府市在住で、この作品で第34回福島正実記念SF童話賞の大賞を受賞しました。SFファンタジーは小さい頃に誰もが夢中になったワクワクした世界です。わたしも友達と大騒ぎしながら中心街を駆け回り遊んだことを思い出すきっかけとなった一冊でした。家族で読んで、思い出したことを話してみても面白そうな本です。

相川郁恵(作)
佐藤真紀子(絵)
岩崎書店 1,200円(税別)