新型コロナウイルスの状況下でも気持ちを保っていきましょう『レジリエンス入門』
新型コロナウイルスが猛威を振るう。意気消沈した言葉ばかりを聞くようになった。ウイルスの恐怖、先行きへの不安とともに、自分の気持も塞ぎ込みがちになってしまう。▼この本には「折れない心のつくり方」という副題がついている。レジリエンスとは辛いことや悲しいことで落ち込んだりする嫌な気分を、元の状態に戻す力のことである。「出来事」→「解釈」→「気分」という心理的な流れから嫌な気分に向かう原因について語り、その上でレジリエンスの高め方を述べる。著者の実体験を随所に挟み込み、優しく語りかけるような文体で、読者もつまづくことなく読むことができる。▼私が目を引いたのは「最善主義」という言葉だった。最善主義とは「様々な制約のある不公平で理不尽な現実を素直に受け入れ、そんな状況の中で、ベストを尽くそう」というものだ。このような状況の中、奪い合いや争いではなく、心を落ち着かせ、笑顔を生み、協力していく個々人の気持ちが大切だと思った。
内田和俊(著)
ちくまプリマー新書 820円(税別)