はかれないものの中にはじんわりと豊かさがある。
『はかれないものをはかる』

科学の発達は目覚ましいものがあります。ドローン、AI(人工知能)、遺伝子組み換え技術…、社会はどんどん進歩します。その根底には数学や理科などのきっちりと「はかる」精微さがあります。▼一方でその力強い技術の席巻によって肩身の狭い思いをするのが「はかれないもの」たちです。この本はそうした通常では「はかれないもの」を「はかる」という趣向です。例の一つに「あなたの夢におじゃましてよい時間を計る」というものがあります。何だか笑ってしまいますね。実際に「はかれる」ものと違って大変にか弱いものです。▼ですが、こうした目に見えないものを「はかろう」と想像することは、どこにもない幸せな感じがあると思いませんか。帯文には「はかれないものをはかるには、目盛がない魂の秤が必要です」と書いてありました。▼この本はいつもとは違った色んな「はかれないもの」の「はかりかた」が登場します。色んなメモリをつくって、遊べるような想像力があれば、人生をもっと楽しめそうですね。ら。

『はかれないものをはかる』
工藤あゆみ(著) 青幻舎 1,600円(税別)