第22回 ウクレレの真髄を極める

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 とにかくフットワークがいい。それに、この人には「苦手」という言葉がないかのように、どこにでも顔を出して中心に居座ってしまう。ウクレレを抱えて、時にはハーモニカを持って世界を駆け巡る旅行代理店の支店長さんだ。
 もちろん音楽は趣味。それがプロ並みになってきた。8月下旬の金曜日。北口の喫茶店で7人の奥さんが集まった。全員フラの世界ではベテランだが、ウクレレ教室は2回目だという。「踊るだけではなく、バックで演奏もしたくなって」三井さんの指導を受けることになった。


 『オハナ ハウオリ』(家 幸せ)という7人のチームは「女性が3人寄れば姦(かしま)しい。でも7人そろうと美しい」と言いながら、カイマナ ヒラを演奏してくれた。三井さんは「肩の力を抜いて、指の力も。リラックスして」とアドバイスしながら、腕の位置、指の使い方を矯正していく。「2回目にしてはよくできました。でもひどい音だった」と、軽妙な冗談に場は和みっぱなしだ。
 このほかにもいくつかのグループを指導。中にはうなぎ屋さんがレッスン場になることも。「楽譜もきちんと読めなかった人が、スキルアップしていくのを手伝うことができるのは僕自身にとっても幸せ」と、忙しさは気にならないようだ。
 「中学生のころから、ハワイアンに憧れてねえ。ウクレレの神様といわれるハーブ・オオタ氏の影響が大きい。大橋節夫やバッキー白片がキラ星のごとく見えた頃だ。本格的に取り組むようになったのは30歳台半ばからですかね」

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同じ日の午後7時、三井さんは笛吹市春日居町にいた。仲間6人で構成する『マウイ アイランダーズ』の練習日だ。メンバーの一人が自宅敷地にスタジオを設け、本格的な演奏技術を高めあう。県内では名の知れたユニットで、施設への慰問依頼が数多く来る。ほかにも、ホテルでフラの先生がお弟子さん約100人と
パーティーを開いたり、集客施設でサマーバイキングをする時などに声がかかる。県のネンリンピックのステージで45分間演奏したこともある。
 これとは別にジャズのユニット『KIKIバンド』にも参加する。ボサノバを中心にカフェバーにも顔を出す。「行きつけの店には全てウクレレを置き、いつでも弾けるようにしています。女房には内緒だけど」
 仕事で海外に添乗する時は、ウクレレと小さいハーモニカを携行。旅行中客が誕生日を迎えると、即興の演奏で祝福する。修道院で賛美歌を奏でたことも。折々で小さなパーティーを開き盛り上げている。
 「ある時期ウクレレをやっているというと、漫談?と聞かれた。今、こんなにポピュラーになるとは思わなかった」といい、「演奏にここまでということはない。精進あるのみ。コーラスをもっと上手にしたいな」と目指す山は高くなるばかりだ。