2020年10月号 島上条の八幡神社

 県内に多く残る古道のうち、市川大門へ終結する市川道のひとつ[敷島からの道]の起点が島上条の八幡神社である。由緒によると奈良時代末に勧請創建された県内でも有数の古社だという。かつては志摩神社と称して武田氏とその家臣土屋氏に尊崇され、その後も織田、徳川氏にも厚遇されてきた。境内にある板碑は大永元年(1521年)、武田信虎が飯田河原合戦の戦死者供養のため建立したと伝えられる室町時代の石造遺品で、甲斐市指定有形文化財となっている。
 家内安全、家業繁栄、五穀豊穣、殖産の守護神として地域の信仰を集め、毎年7月の祗園祭りでは川除けの神事が現在も続く。灯篭は敷島の水車全盛期に松島村(中下条)の精米組合がその繁昌を祈願して奉納したもの。狛犬は愛好家から甲斐タイプと呼ばれる典型だ。様々な時代の面影を残しながら町と人と供に在り続けている。

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