2021年1月号 富士見通り
富士見坂、富士見町、富士見駅――全国各地にある「富士見」の地名は、富士山あるいは各地の郷土富士が見える場所という意味を持つ。最も富士見の地名が多いのは東京都の72件。開発により現在その景観の多くは失われたが、富士山が望めるような都市計画が江戸時代に為された名残だという。また 「富士見」が「不死身」に通じ、武士にとって縁起が良い言葉であったことも数多く名付けられた理由だとする説もある。
甲府市の富士見通りも、その名の通り富士山に向けた山当ての道。通りの西側に位置する富士見1・2丁目は昭和44年に塩部・千塚・湯村の一部を合わせて改称した町名で、明治9年~昭和39年には現在の朝日・丸の内付近に富士見町があった。富士山がどこよりも美しく見える場所。その名に込められているのは日本一の霊峰を臨む暮らしの喜びであり、誇りである。