2020年4月号 中区配水場

 山裾古の道(やますそいにしえのみち)は、道標を頼りに甲府駅前信玄公の銅像から甲府五山の寺院などを経由し、武田神社に至る道。その途中、愛宕山西中腹に中区配水場はある。全国で26番目の上水道として給水を始めたのは大正2年。長年、伝染病や不衛生な用水に悩まされてきた甲府市民が待ち望んだ上水道に、竣工を祝う歌も作られ、小学校で盛んに歌われたという。100年以上にわたり歴史を刻む、大正ロマン漂う建造物は今も市東部地域を中心に配水を続ける現役施設である。
 甲府市街を見渡せる高台にあり、敷地内に古くは創設当時に植えられた桜の木約80本が毎年見事に咲き誇る。「山裾古の道」と名付けたのは絶妙。しばし古の甲府の城下町が彷彿されるような場所である。

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