2020年3月号 山梨県立文学館
かつて山梨県は公共文化施設の未整備から「文化不毛の地」と評されていた。戦後、博物館建設構想など文化事業振興の気運が高まる中、田邊圀男氏が知事に就任し、「文化不毛の地から文化の発信基地に」という強い意志のもと、山梨県立美術館(1978年)や山梨県立考古博物館(1982年)など公共文化施設が整備されていった。県立美術館に併置させる形で県立文学館が開館したのは1989年。敷地は美術館とともに「芸術の森公園」として整備された。
山梨県出身・ゆかりの文学者を軸に、近世から近現代における文学資料を多岐に渡って収集・保存し、展示・公開を行っている。特に、樋口一葉、芥川龍之介、飯田蛇笏、飯田龍太の資料は、質量ともに国内有数のコレクションである。また文学に関する創作や研究発表の場としても広く提供されており、山梨における文化の継承と発展の一翼を担っている。