2014年12月号 オリンピック通り
例えば旅の上級者は、路地裏を散策するという。確かに、美しく整備されたメインストリートからは見られないその土地の歴史や文化に触れられるのは昔ながらの路地裏かもしれない。
甲府の中心街には今でもそんな横丁が数多く残っている。中でも有名な「オリンピック通り」はその名の通り東京オリンピックが行われた昭和39年にできた飲食店街。当時から続く甲府の隠れた名店もあり、県外から噂を聞きつけた”通”な客が訪れることもあるという。空洞化の進む中心街の懐、ともすれば猥雑とも言える狭い路地にあるのは地元住民の気取らない息遣い。息をひそめるかつての賑わいを伝えるように、懐かしい明かりが灯っている。
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