2010年7月号 小瀬スポーツ公園噴水

2010.07

 公園の中心にある広場には、結晶体を想像させる大小9本のタワー。表面は特殊タイルで、日の出から日没までその色彩は刻々と変わる。…甲府市営の一般公園として1975年に開場、1986年のかいじ国体をきっかけに県営化され、スポーツ公園として整備された「小瀬スポーツ公園」のクラフトタワーのことである。ここは夏になると「水遊びのメッカ」になり、子どもたちの歓声に包まれる。
 「水遊び」は今も昔も変わらぬ夏の風物詩である。ただ、昔の水遊びはこういった建造された施設ではなく、河原や湖・池といった自然の傍らで行われていた。それなりの危険もあったはずだが、水辺の魅力はそれに勝るものであり、衣服などが濡れることを鬱陶しいと思うようになった今でこそ妙に懐かしい感覚を思い起こさせる。もっとも最近では治水のためにコンクリート護岸になってしまった川を、自然護岸あるいはそれに近い状態に戻して、人々と川との間の垣根を低くすることで、川への親しみを取り戻すことを目的とした「親水事業」が行政で行われる時代である。地球という素晴らしい環境は、そこに棲む人間の利便のためにカスタマイズされ、現在ではそれによって失われた部分を元に戻している。失われた部分とはいったい何だろう?…この夏は「水遊び」をしながらそれを考えてみるのも悪くない。

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