2008年11月号 えびす講

2008.11

 「えびす講」の季節。冬の到来を感じる。その昔、甲府の中心街で賑やかに行われたえびす講の大売り出し。なぜか、店頭に出された綿入り半纏の光景をよく覚えている。
 甲府のえびす講は戦前、甲府盆地の農家の冬支度のために行われた歳末大売り出しが発祥だという。そもそも「えびす講」は、主に10月20日・11月20日などに催され、神無月に出雲に出かける時期に留守を預かる留守神として竃様(かまどのかみ)をまつり一年の無事の感謝と、五穀豊穣、大漁祈願を願って行われた民間行事または秋祭り。地方により異なるが、古くは数多くの各家庭や社寺で行われていた年中行事だったが近年は自治体の人手不足や高齢化により活発に行われなくなっている所も数多くあるという。
 今は亡き祖母がこしらえてくれた綿入り半纏。日当たりの良い縁側の床に似たそのにおいが心地よく、ぼろぼろになるまで着た記憶がよみがえる。もうすぐ冬がやってくる。

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