いきいきとした人生には、街があった方がいい
『私の個人主義』

甲府の街には素敵な人がたくさんいる。この街で暮らす幸せだと思う。魅力的な街が形成されるのも、こうした人々がいるからだ。数十年前に現在の様子が誰も想像できなかったように、この先にはまた思いもかけない様相が生まれているはずだ。▼その時の状況はどうあったら嬉しいのか。私たち一人ひとりの力にかかってくる。街という場を通して、それぞれが個性を生かし、一方でまた人々が集積したうねりから、自分のパワーを持ち帰る。人間がのびのびと生きていく土壌には、インターネットや郊外だけではなく、その土地の「念」が染み付いた、リアルに人と人がぶつかる空間が必要だと思う。ほとんどの読者が、この先も甲府で生きていくと思うので、いかに楽しい街にできるのかは決して他人事でもなく重要なことだと思う。▼今回の本は私のとても好きな本である。まず、自分はどうありたいのか。勇気と知恵と力を与えてくれる一冊である。ありがとうございました。

『私の個人主義』
夏目漱石(著)
講談社学術文庫 660円(税別)