ピカソは変幻自在のマルチパフォーマー
『ピカソ 巨匠の作品と生涯 Kadokawa Art Selection』

「私は探さない、見つけるのだ」ピカソはあらゆうるものを創造の源泉にして、新しい表現を開拓する変幻自在ののマルチパフォーマーだった。常に優れた表現を取り入れ続け、作品を刷新して、やがて創作物は「ピカソ」の独創となっていった。苦悩もありつつ、思い上がったところもあり、女好きでもあった。ピカソは自らの想像力を刺激したものには、全身全霊で向かっていく。▼その姿はまるで子供のようだ。好奇心に動かされ、あれこれ夢中になって遊び、好き放題に組み合わせては新たな作品にしてしまう。この本は次々に作風を変えていくその過程をじっくり愉しむことができる。その時々に何に出会い、どのような作品が生まれてきたのかを味わえる。ピカソの秘密が垣間見れる一冊だ。▼何かを取り入れ、組み合わせ、新たな成果を生んでいくかという面では、どんな人でも参考になるところがあると思う。

岡村多佳夫(著)
角川文庫 667円(税別)