甲府の中心街で旬を喰らう
『土を喰う日々』

日差しが強くなりはじめました。自然の生命力がみなぎります。楽しみになるのが旬の野菜です。甲府の街中は美味しい野菜が県内各地から集約する素晴らしい場所です。同じ野菜でも飲食店による調理法の違いで味覚の印象が変わるのは面白いものです。▼今回紹介する本は「旬」を楽しむ料理の本です。作家の水上勉さんは小僧としてお寺にいた時がありました。季節で採れた野菜を工夫して美味しくする技術を叩きこまれたのでした。素材そのものを生かした料理の美味しそうなことと言ったらありません!その術を教えてくれる本です。▼1月から12月までの12章立てのエッセイです。5月は「筍」です。「筍とわかめの炊きあわせ」の話に引き込まれます。ちなみに6月は「梅」なのですが、こちらも奥深いのです。著者の思い出とともに食が語られる「味わい深い」本です。

『土を喰う日々』
水上勉(著) 新潮文庫 520円(税別)