ローカルの仕事から見えるその先の世界へ
『希望をくれる人に僕は会いたい』

1508当店の取り組みについて講演を依頼され「東京国際ブックフェア」に行ってきた。有り難いことに全国各地の人が来てくれた。現在日本は人口減少社会に突入して、あらゆるところでひずみが生じている。地方の厳しい局面での書店経営の話は、その不安を抱える場所にとって関心が高い。甲府市中心街を取り巻く状況や、そこで実践した仕事や活動の話をした。商店街の小さな本屋の模索が知らない間に講演する内容になっていた。▼その時私はこの小さい現場にいながら、広い世界とつながった気がした。広い世界に出るのは、拡大を続ける新進気鋭の企業のことだと思っていたが、実は自らの現場を深く掘り下げることでも世界はこの手を握り返してくれる。人影もまばらな地域の現実に諦めずに実践してきた蓄積は、これから全国各地が直面する社会を切り開くヒントを持っているのかもしれない。現代は情報が瞬時に世界に拡散される時代だ。私達の住むローカルのすぐ向こうにはグローバルがある。

『希望をくれる人に僕は会いたい』
日本経済新聞出版社 2,600円(税別)