中心街の秋の味覚へご案内します!『太陽の坐る場所』
増村保造、矢崎仁司、成島出、富田克也。日本でも世界でも評価が高い山梨県出身の映画監督が大勢います。中心街にはかつて数多く映画館があり、映画を観た後に商店街で買い物をしたり、食事をとったりと楽しみがいくつもありました。そんな環境の中で映画人が育ったんですね。現在は映画といえば、家庭ビデオや大きなショッピングモールのシネコンばかり。将来の映画人のことを思うと寂しい限りですが、街中で唯一となった「シアターセントラルBe館」は今でも中心街で映画文化を盛り上げています。みんなでその火を絶やさぬように応援していかないとなりませんね。
そんな映画館で今一番注目の上映作品といえば「太陽の坐る場所」です。原作者は山梨県出身で直木賞作家の辻村深月さん。ロケは山梨で数多く行われたそうなので、知っている場所が出てくるはずですよ。原作はミステリー要素もあったりして面白い作品ですが、映画化に当たっては、脚本で思い切ってシーンを削ったり、原作にはない場面を創作したそうなので「読む」と「観る」の2つの違った味わいを堪能できますね。「読書の秋」に「映画の秋」、この秋最高の文化の味覚です。
『太陽の坐る場所』
文春文庫 辻村 深月 (著) 600円(税別)