その8 統合医療(補完・代替医療)について(2)
統合医療、代替医療については、私が考えていたよりも反響が少なかったように思います。それは、日頃みなさんが健康に良いといわれて飲んでいる機能性食品とか若返りのサプリメントとか鍼灸・整体・マッサージなどが代替医療の一部である事を知らなかったことが理由の一つとして考えられます。
世界の代替医療の現況を簡単に説明しますと、1993年の調査で米国成人の4割の人が代替医療を利用しています。今では更に増加していることと思われます。1997年の調査によると代替医療に使われた費用は、総自己負担費として約3~4兆円という金額になっており、これは当時、通常保険を使った医療費の自己負担額と匹敵するか上回まっている金額に相当しているそうです。現在米国では、代替医療をきちんと科学的に調査すべきであるという考え方に変わりつつあり、その中のいくつかは保険が適用され始めています。
ヨーロッパではもっと進んでいて、ある国では大部分の代替医療が保険適用となっており、治療を受ける時、患者自身が西洋医学か代替医療かを選択できる国もあります。また英国では、チャールズ皇太子の提案で代替医療研究会プロジェクトチームが作られ、統合医療の5ヵ年計画が立てられ、国家レベルで代替医療の研究が行われています。
このように世界中で統合医療が認知されてきているのがお解りだと思います。日本では、漢方薬が保険薬ですし、鍼灸や柔道整復など一部のものが保険で認められていますが、まだまだ色々な意味で欧米より遅れていて国家レベルでの調査研究が待たれます。私が一番懸念することは、この分野が膨大な利益を生む産業になってきていることです。病気で苦しんでいる人々のために、まじめに真摯に取り組んでいる方が多いのですが、なかにはまがい物を高価で売って大もうけをしている人もいます。それだけに調査してきちんとした制度が早急に必要だと思います。
私は長いこと代替医療に携わってきましたので大勢の方と話し合う機会がありました。この治療を
希望される方は、癌の人、アトピーなどアレルギーで苦しんでいる人、悪性関節リュウマチなどの特定疾患の人など、現在の西洋医学では治癒することが難しい病気の人々が殆どです。癌にこのサプリメントが効いたという話を聞いて相談にくるのですが、どれも確実に良くなるものは無く、治療法も確立していないのが現状です。しかし、本人が噂だけに頼らず、情報を集めてご自分が納得した上で希望されれば、それは止めた方が良いとは私から言い出しません。
何故かと言いますと、中には非常に効果のある人が存在するからです。五木寛之氏と代替療法の第一人者の帯津良一先生が対談している健康問答という本があります。その中で示唆に富んだ話がでてきます。二つ紹介しますと、あらゆる代替療法は、効く人もいれば、効かない人もいる。それを見極めるのは本人の直感である。一つにのめりこんではいけない。それと、サプリメントは、勘を働かせて効果があると思ったら続ける。一、二ヶ月続けて効果がなければやめる。高価なもの、断定的な言い方をする人、人相の悪い人からは買うな。医学的な根拠がはっきりしない現在では、これら二つの言葉を参考にして代替療法を選択して頂きたいと思います。