その17 子育て・教育について

桜の下で記念撮影。入学式の子どもたちは晴れ晴れとしている。親たちは少々緊張気味。淡いピンクの花びらの向こうにそれぞれどんな空を見つめているのだ
ろうか。
今回は「子育て・教育」について。些か硬いイメージだが、参加した母親達にとっては日常であり、重要なテーマなのである。

Qさん・・・「まず、これまでに抱いた子育てにおける悩みや疑問などを・・・」

Gさん・・・「私は子どもを比べてしまうんです。おしゃべりが遅いとか・・・周りとつい比較してしまうんです。人から指摘されたりすると尚更なんです」

Cさん・・・「生まれ月にもよるかもしれませんし、そんなに心配しなくていいかも」

Dさん・・・「そうそう、個人差はあるものだしね」

Fさん・・・「そのときはすごく悩んだのに、過ぎてみればなんてことないものなんですよ」

Nさん・・・「やはり、子育て中って周りに言われたりすることを気にしがちですよね。その子はその子なのに・・・比べてはいけないとわかっていながらもついつい・・・」

Qさん・・・「うちの子は向きグセが治らなくて、そこを年配の方からは『こういうのはあなたのせいよ』なんて言われましたっけ。たしかに親だって何とかしてあげたいんですけれどね」

Jさん・・・「そのとき、本人はとても悩んでいるのに、その一言を考えて欲しいと思いますよね。そんな一言っていつまでも残るものですよね」

一同・・・「うんうん」

Dさん・・・「体にトラブルがあると『うちの家系にはそんな体質はないわよ!』なんてひどいことを当たり前に言われたりするこもありますよね」

一同・・・「そうそう」「酷いわよねぇ」

Qさん・・・「日頃、子育てとか教育といったことについて『私はこんなことに気をつけている』といったことはありますか?教育方針というか・・・」
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Aさん・・・「家では親から『勉強しなさい』と言わないことにしています」

Qさん・・・「それで言わないとどうですか?」

Aさん・・・「言わないと勉強しますよ。やらなきゃ困ると自覚しているんでしょうか」

Bさん・・・「うちでは夜眠るのが遅くて悩んでいます。夜、会合などに出かける機会も多くてそれまでに寝かそうとするのですが・・・」

Qさん・・・「子どもって不思議ですよね。親が出かけるって時に限ってなかなか寝なくて、親は親で寝かそうと一生懸命だからトントンが早くなってしまったりね・・・」

一同・・・「そうそう、逆効果(笑)」

Cさん・・・「家のこだわりは普通に挨拶かな」

一同・・・「大事よね・・・」

Dさん・・・「小さい頃から規則正しく・・・朝も自分で起きられるように自分で考え判断し行動できるようにと教わりました。『~しなさい』じゃなくて自分で。また、それをアドバイスしてくれる知人が近くにいたことも幸せでしたね」

Eさん・・・「うちなんてみんな朝寝坊なので恥ずかしい・・・。どうにかしなくちゃと思うんだけれど」

Dさん・・・「寝かすのは無理だから、1ヶ月ぐらいかけて朝をしっかり早く起こしてサイクルを整えるといいわよ」

一同・・・「なるほど・・・そっか・・・」

Eさん・・・「食や睡眠や健康のことに気をつけています。Dさんみたいに自分でできる子にしたくて・・・。でも、ついつい上の子には口出しを。子どもとの相性っていうのもあるのかな?」

Gさん・・・「あると思いますよ。私と私の親とのことを思うとそう感じますね」

Fさん・・・「そうですよね。この子の気持ちは理解できるけれど、この子は解らないとか・・・でも、性格が合わないからと諦めるわけにもいかないんですけれどね(笑)」
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一同・・・「全くそうよね・・・」

Hさん・・・「我が家では朝の『おはよう』を親が繰り返したことで子どもも朝起きたらおはようを言うようになりました。子どもが自ら・・・ということを意識させるようにさりげなく運ぶということは大切なことだと思います」

Iさん・・・「うちも早寝早起き朝ごはんです。栄養のことはよく解らないけれど色取りに気をつけています(笑)」

一同・・・「色が揃うと栄養的にもバランスがいいって言うじゃない(笑)」

Iさん・・・「上の子をしっかりさせようと思ってあまりにも口出ししすぎたら中学に入って倍返し(笑)。言葉掛けについて反省しましたね。キツイ言葉には素っ気無い子が育つんだなあと・・・。優しく言葉をかけた子はソフトで優しい子なんですよね」

Hさん・・・「たとえば何かやられた時にはやり返せるぐらい強い子にと・・・」

Dさん・・・「そうね、暴力はいけないけれど、言葉でね。嫌なことはイヤ!と言えることが大事よね」

Qさん・・・「そういえば、最近は幼稚園などの運動会で『勝ち負け』を省きますよね。でも、うちの子みたいに運動会ぐらいしか活躍の場がない子には可哀想な話です」

Cさん・・・「数年前にリレーの選手決めがなくなりました。『うちの子が出られない』って抗議した親がいたからなんですって。出られるように頑張れって励ますべきでは?」

Dさん・・・「確かに、親も親ですけれど、その意見に左右される学校も学校ですよね」

Kさん・・・「モンスターペアレントが増殖するわけですよね~。しかも子どものためじゃなく、自分の満足や評価のために叫んでいることに気付いていませんよ
ね。我が子も他の子も大事という意識が育ってないから、誰よりも我が子が飛びぬけて優れていなければ気がすまないんですよね」

Eさん・・・「大きなコンプレックスを子どもに解消させようとしているみたいですよね。」

Kさん・・・「駆けっこで生き生きと自分を出せる子はそこに大きな成長があるわけですよね。集団競技で周りとの連携に役立つ子もいるし、みんな必ず光るところがあるはず。そこに添って伸びるきっかけを与えることは大事だと思う。何もかもみんな平らにしてしまうことは決して良い策だとは思わないんだけれど」

一同・・・「そうそう」

Mさん・・・「逆に格差のことですが、我が子が他の子に劣るのが怖くて幼児のうちから早く早くって詰め込むでしょう?1年生になるときに、1年生のカリキュラムを既にクリアしている子と名前しか書けない子、その格差には驚きますね。周りに比べて何もできなくてどうしようと不安になったものです」
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Kさん・・・「でもね、1年生はドキドキワクワクのスタートでなければならないのに、幼稚園でやったひらがなのワークをまたやらされるわけですよ。好奇心で伸びる時に毎日つまらなかったら他のことも伸びなくなってしまわないのかな」

Cさん・・・「でも、できない側には辛いかも」

Nさん・・・「確かに親はね。でももっと入学前に身につけなければならない大事なことってあると思うの。感じたら素直に気持ちを表せるような、そんな経験・・・」

一同・・・「うんうん」

最後に「お父さんと子どもの関わり」というテーマでは次のような様々な意見が・・・。

「母の手が空かない時は父が子ども担当」「ノータッチ(笑) 」「洗濯担当」という活躍型の父の報告。それに続いて「息子には父親が必要」「当たり前に子育て参加」「思春期に父は居るだけでもいい。背中を向けないで」など希望的意見。
ほかに「夫婦の勤務時間の違いを利用して無理なく父と子の時間」「協力しているつもりらしい」「体調不良の時には助けてもらっている」「お父さんって、最初は自信がなくて戸惑っているのかもしれない。会話が大事」「娘が『お父さん寄らないで』は無事に育っている証。正常な生態系を維持するために必要なこと。父親たち、意固地にならないで」などなど。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「もっと」と急かして詰め込んで、いつココロを育むの?「嬉しい」「ホッとする」「しあわせ~」をたくさん感じて子ども時代を送る大切さ。

子どもも親になる時が来る。その子どもがまた親になる日も来る。初めて抱いた赤ちゃんを「元気に育て」とだけ祈る健全で澄んだ心の親に育てるために、本当の生きる力を育むために、親はもっと丁寧に子どもに寄り添い、大きな器でゆったりと見守れるそんな親になりたいものだ。

母たちはたくましい。しかし、その陰には多くの涙もあったに違いない。