2008年10月号 運動会
日本で最初に行われた運動会は明治7年、海軍兵学校で行われた競闘遊戯会。それが継続的かつ全国に普及するきっかけとなったものは明治11年に札幌農学校で開催された遊技会であると考えられており、僅か数年で北海道内の小中学校に広がった。
運動会には「運動能力の優劣を競う」という競技性が必然だが、個人の運動能力格差の問題や、騎馬戦の危険性、ひいては男女平等の観点からの問題なども取り沙汰され、運動会から「競技性」の色が薄くなってきている。また、運動会をカメラやビデオにおさめようとする行為が「場所取り」をエスカレートさせ、これもまた新たな問題として現れてきている。
貧困にあえぐ社会には飢餓の犠牲になる子供たち、守られた社会の中では自閉的な精神障害の子供たちが居る。「競技性」の要否を問う前に、子供たちをもっと見つめることが大切なのではないだろうか。