2019年8月号 北岳
南アルプスの中ほどに位置する北岳は、標高3,193メートル、富士山に次ぐ日本第2位の高峰で日本百名山、山梨百名山のひとつである。南北に連なる白峰山の一番北にあることから北岳と呼ばれるようになった。
登山コースは南アルプスならではのダイナミックな展望、雪渓や樹林帯といった変化に富み、富士山を望むことでも人気の山だ。登山者の安全を期すため山梨県が設置した北岳山荘周辺は森林限界のハイマツ帯で、県の絶滅危惧IA類(CR)に指定されているライチョウの生息地。固有種のキタダケソウをはじめとした100種類に及ぶ高山植物は氷河期を生き延びて気温が低い高山にだけ取り残された花々だという。山肌が最も鮮やかになる夏、北岳は登山の魅力を存分に教えてくれる。