2019年9月号 甲斐住吉駅
JR身延線甲斐住吉駅は南甲府駅の管理下におかれた無人駅。昭和6年に富士身延鉄道の甲府住吉停留場(旅客駅)として開業し、昭和13年に国鉄が借り上げた際に格上げされて甲斐住吉駅へと改称した。地名や駅名の元となったのは500メートルほど北東にある住吉神社である。
駅舎はなくホームには待合所と小さな上屋のみ。待合所の柱に流用されている古レールは1880年代の英国キャンメル社製の古いもので、明瞭に刻印が判読できる。通勤・通学、ショッピング。いつも乗り降りするのはほぼ決まった人だろう。周辺には高校が多く立地し、駐輪場に溢れかえった自転車が利用者の多さを物語る。ホーム先端の踏切は甲府からの列車が停車すると同時に遮断機が上がり、下車したばかりの人々が慣れた足取りで横切ってゆく。小さいながらも地域の中に無くてはならない駅舎の日常風景である。