2019年3月号 山梨県立考古博物館
文化庁の認定する「日本遺産」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリー。2018年、長野県と山梨県にまたがって申請された「星降る中部高地の縄文世界 —数千年を遡る黒曜石鉱山と縄文人に出会う旅—」が新たな遺産として認定された。
縄文時代、八ヶ岳を中心とした中部高地に黒曜石の鉱山があり、最高級の矢じりの材料として日本の各地にもたらされた。その麓は日本列島屈指の人口密集地帯であったといい、山梨県内では、北杜、韮崎、南アルプス、甲州、笛吹、甲府の6市の遺跡・遺物22件が日本遺産の構成文化財となっている。その土器や土偶の芸術性の高さは目を見張るものがあり、黒曜石や山の幸に恵まれて繁栄した縄文人の営みを身近に感じることができる。