2018年3月号 台ヶ原宿
「此の地高く平らにして台盤の如し」というところから名付けられたとされる台ヶ原は、釜無川と尾白川に挟まれた山間の宿場。古くは戦国時代に織田信長が武田勝頼を追って甲斐国を侵攻したときにこの地に宿営したと伝えられている。江戸時代に甲州街道の宿場として栄え、本陣、脇本陣と14軒の旅籠を中心に宿内に総家数153軒が並んだ。
緩やかな坂道の通りには現在も本陣跡の石碑が残り、つるや旅館や金精軒など当時の建物が軒を連ねる。中でも有名な北原家は明治天皇の行在所となった由緒ある木造建築。寛延二年(1749)創業、銘酒七賢の蔵元である。往時の旅籠や商家の面影がしのばれるこの宿の往還は『日本の道百選』にも選ばれている。