2016年9月号 八ヶ岳とコスモス
コスモスという名前はギリシア語の「Kosmos」に由来すると言われている。「秩序と調和」を表すこの言葉は、宇宙を指す「Cosmos」の語源でもある。たゆまない星や太陽の運行に、美しく配置された花びらに、秩序と調和を見出したのだろう。
コスモスの花が日本に渡来したのは明治20年頃とされている。意外にも日が浅いが、今ではすっかり日本の風土に馴染み、秋の季語として用いられるほど。秋桜(あきざくら)の呼称にも日本人らしい感性と愛着が伺える。初秋の風に揺れるコスモスは、路傍、川原、名所のコスモス畑まで至る所で見られ、心地よい幸福感と郷愁をもたらしてくれる。