2016年3月号 穴切大神社

2016.03

 昔、甲斐の国は湖の底であった。その疎水を計画したのが国母地蔵として知られている稲積地蔵である。賛同した一人目の神が山を蹴破り、次の神は山に穴を開けて水を落とし、それを見た不動尊が湖水を富士川へ導いて川瀬を造ったことで、平地となったという。古くからある甲斐の湖水伝説・蹴裂伝説である。
 甲府市宝に鎮座する穴切大神社は、山を切り穴を開けた穴切明神を祀る。鳥居の奥に参門があるのは神仏習合の名残だろう。神と仏が力を合せて土地を開いた神話の由緒を、その名に留めている。

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