2015年9月号 小室神社の流鏑馬祭り
毎年9月19日下吉田の小室浅間神社で行なわれる秋祭り。武芸である武士の流鏑馬とは違い、馬のひずめの跡を見て厄災を占う神事である。今ではこの「馬蹄占」を目的として流鏑馬を行う地域は他にない。春の播種期に里に降りて実りをもたらした祭神が富士山に帰るのを見送り、翌春までの間に災厄のないよう願いを込めて、矢は的を狙わず天を射る。
馬に乗る奉仕者は一週間にわたる厳重な潔斎を行い、吉凶を判ずるのは占人(うらびと)と呼ばれる世襲の役。占いの結果を元にした祈願の行事は11月頃まで続く。800年以上一度も絶えることなく受け継がれ、地域の相互扶助の根底を支えているという。