2015年6月号 豊川稲荷
豊川稲荷の本山は愛知県の豐川閣妙嚴寺である。白狐に跨った豊川吒枳尼眞天(だきにしんてん)を祀る寺院であり、京都の伏見稲荷大社を総本社とする稲荷神社とは系列を異にする。神社同様の白狐に朱い鳥居は、稲荷信仰との習合によるものだという。
甲府市丸の内にあるのも、そんな豊川稲荷のひとつか。この場所は元々甲府城内で、勤番士の屋敷内に鎮守として祀られたものらしい。商売繁盛の神様として信仰を集め、祭りの際には一般にも参拝が許されたといい、この日ばかりは勤番士が町人に甘酒をふるまうなど交流があったとも伝えられる。当時から「お稲荷さん」と呼ばれ、さぞ親しまれていたことだろう。
1件のコメント