2015年4月号 武田通り
甲府駅から北へ真っ直ぐと続くなだらかな坂道。武田通りと呼ばれるこの道を上り詰めると武田神社に辿り着く。三方を山に囲まれた相川扇状地の開口部、甲府盆地を一望する自然の要害、躑躅ケ崎館と呼ばれる武田氏の居館跡である。武田通りには武田家重臣達の屋敷跡を示す案内板が置かれ、まさにこの場所が当時最強と謳われた甲州軍団の本拠地であったことを物語る。
現在は甲府が誇る観光ロードだが商業化はされておらず、石畳が整備された約2kmの通りには桜並木が続く。毎年桜と共に通りを飾る菜の花のプランターは、地元の人達によって設置されているという。信玄公の生きた時代の、遠い面影が偲ばれる春である。