2013年5月号 甲州夢小路
甲府駅北口に甲州夢小路がオープンした。「歩いて楽しめるまち」をコンセプトに、古民家や蔵に地場産品の店舗をそろえ、水路や石畳にも懐かしい小江戸情緒が息づく。シンボルともいえる「時の鐘」は、明治初期まで200年以上住民に時刻を知らせていたという鐘楼を再現したものだという。民間単独による事業だが、舞鶴城跡地を中心とした歴史観光地区の一翼を担い、甲府の街づくりに一石を投じるような心意気と情熱を感じる。点から線、線から面へと広がるような行政との連携も望まれるところだろう。
「きれいに文化の、しみとおっているまちである。」――かつて甲府を表した、太宰治の言葉が思い出された。