2012年8月号 笛吹川石和鵜飼
JR石和駅から鵜飼橋へ向かう旧甲州街道沿いに、鵜飼山遠妙寺という寺がある。能の演目「鵜飼」の発祥の地とされ、この寺の由緒はまさに謡曲のあらすじ通り。その中の登場人物「鵜飼漁翁」が壇の浦の合戦後に石和の地に逃れた平清盛の義弟、平大納言時忠であり、石和で鵜飼を始めたとのだと言い伝えられているという。
「徒歩鵜(かちう)」と呼ばれる笛吹川の鵜飼は、小舟を用いず川の中を歩きながら鵜を操る全国的にも珍しい漁法で、その歴史は800有余年。昭和51年に観光資源として復活し、現在では石和の夏の風物詩となっている。夏の夜、涼やかな笛吹川の清流で古式ゆかしい幽玄の世界へと誘われることだろう。