2011年3月号 富士川小学校
開校明治5年、甲府で最も古い歴史を持つ富士川小学校は今年の3月をもって閉校し、その138年の歴史に幕を閉じる。
小学校は4月から琢美小と統合し、善誘館小として現在の琢美小の校舎で新たな歴史を刻み始める。富士川小の跡地には災害時の避難所となる運動場や施設が整備される。耐震基準を満たしていない校舎と体育館は取り壊され、多目的ホールが建設されイベントやスポーツなどの市民活動にも利用できる場所になる予定。同じく耐震診断で補強の必要性が指摘されている中央保育所が移転し、「幼・壮・老」の3世代が交流できる施設となるそうだ。小学校としての役目を終えたあとも、新しい地域の交流の場としての活躍が期待されている。
校庭北側には児童の提案で学校への感謝の気持ちをつづったパネルが昨年末から設置されている。中央線の車窓からもよく見えるそのパネルは、校舎が取り壊されてもそのまま残るそうだ。思えば東京からの帰路、車窓から見える富士川小の校庭は電車の降り支度をする目印だった。卒業生でなくとも、そんな思い出のあるなじみ深い場所。校舎は姿を消しても、その場所と共にある思い出はそれぞれの心の中で決して消えることはない。