2010年12月号 ココリのライトアップ
日本における建築物のライトアップは、1963年に竣工した神戸ポートタワーから広まったらしい。その後20数年の停滞期を経て、1989年。東京タワーのライトアップを皮切りに再び盛んになり、夜の都市景観を形作る文化として定着するようになった。昨今は、祭典などで都市ぐるみの計画的なライトアップや、自然環境に対して行う例もあり、ナイアガラの滝のライトアップは100年ほどの歴史がある。日本でも花見や紅葉の名所でおこなわれる例が数多くある。
わが街甲府に10月22日にオープンしたkokori(ココリ)では、日没から20:30まで、南北の両壁面のライトアップを実施し話題になっている。日替わりで七つの色に変化する企画で、古くから中心市街地として賑わっていた紅梅通りを歩く人々の好奇心を集めている。
ライトアップ。古風に言えば「灯をともす」ことである。現代の日本の都市空間には100%の暗闇を見つけるのは難しい。むしろ夜の街の赤ちょうちんの灯は、私にとってはオアシスに近い存在である。「灯」は人の息吹である。「灯」は人のやすらぎである。