2010年2月号 厄地蔵さん
甲府湯村の『厄除け地蔵尊まつり』。1年に1日だけ(2/13正午?14正午)耳が開き、願い事を叶えてくれる。当日は参道に100軒あまりの露店が出店し、厄祓いのために10万人もの参詣者で賑わう。そもそも厄祓いは、厄年に行われることが多く、厄年とは、厄災が多く降りかかるとされる年齢のことで、科学的な根拠が不確かで起源も曖昧だが、根強く信じられている風習である。
俗に男25、42、61、女19、33、37、男は42、女は33をもって大厄とされる。江戸時代に入って暦の普及とともに厄年の概念が普及し、神社仏閣での厄除けが流行したようだ。1年に1日だけ願い事を叶えてくれるお地蔵さまだが、その名前を正確に言うと「地蔵菩薩」。菩薩は如来に次ぐ高い位の仏だが…「一斉衆生済度の請願を果たさずば、我、菩薩界に戻らじ」の決意でその地位を退し、自らの足で行脚し、救われない衆生、親より先に世を去った幼い子供の魂を救って旅を続ける…という、最も弱い立場の人々を最優先で救済する菩薩だという存在感から、古来より絶大な信仰の対象となった。時代は変われども安寧に暮らしたいと願う人々の心は変わらない。むしろ1年に1日だけだから良いのかもしれない。願い事を叶えてくれるために耳を開くお地蔵さまはありがたい。