2009年7月号 富士山清掃
富士山は何県にある?という質問に対しては、残念ながら静岡県と答える人の方が多い傾向にあるらしい。甲府に棲む私たちにとって富士山は、間違いなく山梨を代表する山であり、南の方向の象徴である。富士吉田市の商工会マップに至っては、富士山が地図の上部に位置し、南北が逆転しているという。日本一の富士山の裾野の町らしい自然な感覚である。また、古文献での富士山は、不二山もしくは不尽山と表記される。『竹取物語』の最後の章で、かぐや姫から不老不死の薬を授けられた帝が、その薬を日本で天に一番近い山の山頂で焼くという描写があり、「以来、その山のことを“ふしの山”(ふじの山) と呼ぶ ようになった」とある。その後、鎌倉時代以降に表記が転じて「富士」となった。これは「士が富む」として武士好みの表記であったという。
現在富士山をユネスコの世界遺産に登録しようという運動が行われている。当初は自然遺産への登録が検討されていたが、地元調整がつかず環境管理(特にゴミ問題)が困難なため国は推薦を見送った。それとは起因を別として、昭和37年から富士山の環境美化を呼びかけ、環境保護団体として全国で最も長い運動を続けているのが「財団法人 富士山をきれいにする会」である。今年も恒例のクリーン作戦が8月と9月に行われる。こういった活動の継続が、ゴミを残していく人たちの心に浸みていってほしいものである。