2009年3月号 連雀通り

2009.03

 連雀(れんじゃく)とは物を背負うのに用いる背負子(しょいこ)のことで連尺とも書く。江戸時代の行商の多くは、この連雀に荷物を担いで、各地を往来していた。本来、「連雀」とは渡り鳥の雀を指し、「連尺」を用いる行商が渡り鳥のように見えた事から「連雀」が「連尺」の同義語として用いられるようになった。
 江戸時代の城下町には、行商が連尺に荷を繋げたまま荷物を下ろし、そこに店を出した地域があり、これが全国各地の「連尺」「連雀」などの名称の由来となっている。連雀問屋街は、古くは連雀繊維街として発展したが、昭和52年(1978年)「流通センター」という名称で田富町(中央市)にその機能を移転した。
 繊維問屋街・食品問屋街を始めとする地域の基幹というべき商業基盤と人口が流出した後の甲府中心部の連雀問屋街。メイン通りにかかる看板に記された文字は、かつて賑やかだったであろう人の息吹とは対照的に、夕日に輝いていた。

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