2009年2月号 ちょうちん横丁
「暗いと不平を言うよりも、進んで灯りをつけましょう」。半世紀以上継続しているラジオのカトリック系布教番組でおなじみの言葉だ。
まさしくこれを実践した飲食店街がある。甲府駅南口から平和通りの西側を下ってすぐ、50m足らずの横丁だ。経済の低迷にあえぐ日本の中で、それを誰かや何かのせいにするのではなく、自ら何とかしようと決起した。進んでつけた灯りは「赤ちょうちん」。昨年12月の点灯式には甲府市長も駆けつけた。文字通り明るくなった横丁の真ん中あたりには、「灯り」をテーマにしたアートの募集シートが掲げられている。そのシートには「…灯りは息吹の証である。灯りは存在の主張である。個性的な小路は、人々のオアシスなのである。…」とある。
何かが始まるとき、そこには必ず「見える何か」があり、そしてそれに動かされる「感じる何か」がある。駅前に出かけることがあったら「ちょうちん横丁」を覗いてみてほしいと思う。