2008年5月号 鯉のぼりづくり
1.甍(いらか)の波と雲の波、重なる波の中空(なかぞら)を、橘(たちばな)かおる朝風に、高く泳ぐや、鯉のぼり。2.開ける広き其の口に、舟をも呑(の)まん様見えて、ゆたかに振(ふる)う尾鰭(おひれ)には、物に動ぜぬ姿あり。3.百瀬(ももせ)の滝を登りなば、忽(たちま)ち竜になりぬべき、わが身に似よや男子(おのこご)と、空に躍るや鯉のぼり…
作詞者不詳、大正初期につくられた「鯉のぼり」の歌詞である。1番はなじみ深いが、2.3番はなかなか知っている人も少ない。何とも勇壮な男児の歌である。この男児の風習に、ジェンダーフリー論者からは批判的な意見もあるようだが、やはり五月の空にたなびく鯉のぼりは、日本の季節の良き風景であることに間違いはない。
この季節、高速道路の吹き流しは鯉のぼりに取って代わり、ゴールデンウィークのドライブには小さな鯉のぼりをなびかせて行楽に向かう車も少なくない。いい季節がやってくる。