盆地の冬が冷蔵庫ならアラスカは冷凍庫 『旅をする木』
寒い日が続きます。ですがもうしばらくの辛抱です。大神宮のお祭りを過ぎれば、一日一日と春に近づく足音が聞こえてきます。「あと三週間もすれば温かい日差しがやってくる」と、白い息を吐きながら自分を元気づけます。今日紹介する本はアラスカに魅了され移住した星野道夫さんの本です。▼カメラマンとして活躍しながら沢山のエッセイを書き残しました。アラスカの冬はマイナス50度にもなることもあります!こんなに寒さに弱いにも関わらず私は星野さんの本が不思議と好きなのです。春の訪れはムースが山からおりてきて、すぐそばにいる熊が冬眠から覚めてやってきます。▼本全体にアラスカのひんやりと透き通った空気感があります。壮大な自然の中に抱かれて、胸いっぱいに深呼吸をするような本です。一度でいいからアラスカへ行ってみたいとさえ思い始めます。こたつから出られないまま家族にそんな話をしていると、小一の息子が「パパ、大丈夫?」と言って、皆が笑いました。
『旅をする木』
星野道夫 文春文庫 476円(税別)