読書の秋に我を忘れて読みたい本は
『ゾンビ・アパート』

1510桜座で開催された『ゾンビ・アパート』出版記念パーティーに行ってきた。著者の飯野文彦氏は旧穴切小出身で現在は甲府中心街在住という郷土作家だ。会場に到着すると錚々たる作家や評論家が東京からお祝いに駆けつけていた。私がホラー分野に造詣がないため知らなかったが、飯野氏はこの世界では多くの作家からその実力を高く評価される人なのであった。▼評論家の笹川吉晴氏は「ここ30年の日本ホラーの中でも、最も重要な作品集のひとつだ」と絶賛した。近所にそんな凄腕の作家がいるとなれば読まないわけにはいかない。作品は9つからなる短編集でごく身近な光景から物語は始まる。そこから未知の世界へと引きずりこむのだ。はっきり言って怖い!そしてちょっとエグい。だが発想が斬新で読む手を止められなかった。どこからこんなアイディアが湧くのだろうか。▼著者は中心街をよく散歩している。今度会ったら沢山のことを聞いてみたい。この街の楽しみがまた一つ増えた。

『ゾンビ・アパート』
飯野 文彦(著) 河出書房新社 1,900円(税別)