昔の人との気持ちの交換
『万葉集』

令和という元号にもすっかり慣れてきました。今回は『万葉集』からの出典ということで、問い合わせが沢山ありました。ご存知のように『万葉集』は日本の最古の和歌集です。日本文化は様々ありますが、その先は歌に行き着きそうですね。▼貴族から庶民まで多種多様な人が詠んだ歌が集められ、あらゆる立場の人々の感慨が伝わってきます。五と七をもとにしたリズム感は現代の日本においても体に馴染むものがあり、時代を超えて一体化するような気持ちにもなります。▼言葉の内容は今と違うので良くわからない部分も確かにあるのですが、その一方で何度も口に出していると、何とはなしに伝わってくるものがあるのです。まさに「時空を超えて」伝わる時ですね。昔の人の生身の言葉がすっと心に入ってくるところが面白みでもあるのです。▼『万葉集』は気取りなく親しみやすいところもあり、日常において、歌をただ楽しんでいたのだなあとも思ったりもします。

『万葉集』(日本の古典をよむ④)
小島 憲之 , 木下 正俊 , 東野 治之 (翻訳) 小学館 1,800円(税別)