旅先の路地
『新 世界の路地裏』

1405甲府の中心街で好きな場所の一つが裏春日の路地です。最近は寂しくなり「恐い」という人がいますが、見方を変えると本当に素敵な場所です。肩と肩がぶつかった華やかな全盛期、バブル後の低迷期、良い時も悪い時もそのあり様を見つめ続けた佇まいが独特の風情を醸し出します。これは長年の歳月により培ったもので、人工的に作ることはできません。県外の友人を連れて行くと間違いなく喜ばれます。それは「ここにしかない」という決して代替えのきかないものを感じ取るからだと思います。悲しいかな現在は一度幹線道路にでれば、全国どこに行っても同じ風景です。しかし、路地はその土地独自の空気を吸い込んだ「らしさ」が残っていて、その魅力は外から来た人間を吸い寄せます。今月の本はそのものずばりの「路地」の本です。私は旅先の路地探検が好きですが、この本からは世界各地の路地の「匂い」が漂ってくるようです。5月は行楽日和です。「こんなところに注目してみよう」と路地を楽しむポイントを考えてから旅行すると、甲府の街の資源に活かせるようなヒントが見つかるかもしれませんね。

『新 世界の路地裏』
(パイ インターナショナル 2,400円(税別))