出会いの季節 『魔女の宅急便』
4月といえば新学期です。当店にとっても1年の中で最も慌ただしい季節です。特に新入生は環境がまるっきり変わりますね。緊張や不安があっても、それ以上に新しい世界への期待感はひとしおでしょう。街を行き交いながらドキドキワクワクしている学生を微笑ましく見ていたら、目の前に当時の自分がフラッシュバックしました。未来だけが大きく広がってどのように気持ちに整理をつけてよいのか分からない複雑な気持ちです。
今回紹介する本はそんな気持ちを思い起こして自分と対面する本です。主人公キキは魔法使いになるため13歳で家を出て新しい街で暮らし始めます。そして宅急便の仕事を通して、街に馴染み、コミュニケーションをはかり、人間として成長していきます。映画でもお馴染みですが、原作はあの時の自分を照らしてくれます。
この新たな始まりの季節にもう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
角野 栄子 『魔女の宅急便』
(角川文庫 580円)