「物語世界」と「思い出」を二重に味わう面白さ
『スタンド・バイ・ミー』


原作は映画化され、リバー・フェニックスの繊細でありながらタフな演技が印象的な人気映画だ。物語は郷愁とともに4人の少年の冒険譚を描く。危機一髪の場面と思春期に向かう少年たちの壊れやすい感情が交錯する。▼原作は映画と基調は同じだが、本ではゆっくりと味わって、その世界観を愉しむことができる。この物語は、誰もが昔の経験を重ねてしまう。少年期に体験した記憶が、物語の各シーンから引き出され、読者は二重の物語を行き来することになる。▼何かを思い出したら、ページを閉じて読書を一旦停止してほしい。自分のペースで自分の体験を追体験することは、映画にはできない本ならではの醍醐味だ。それによりこの物語はいっそう豊かになる。▼7月29日の『シーンを味わう』では、この作品を題材にする。参加者それぞれが思い出を振り返り、楽しく豊かな時間を過ごしてみたい。

『スタンド・バイ・ミー』
スティーブン・キング著 新潮社 750円(税別)


2018年6月28日

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