2018年11月号 南伊奈ヶ湖

2018.11

 南アルプスの前衛櫛形山の中腹、「山梨県民の森」の標高900mを越える場所に北伊奈ヶ湖と南伊奈ヶ湖はある。いずれも古くからの人工的な溜池でかつては発電にも使われていたが、現在は役目を終えてひっそりと佇む小さな湖である。
 山深く風がほとんど吹かないため、湖面には湖畔の木々や周囲の山々を鏡のように映し出す。秋には湖面近くまで枝垂れた紅葉が実に鮮やかだ。南伊奈ヶ湖の白鳥は年々数が減り1羽になってしまったこともあったが、地元の小学生が声を上げ、山中湖から2羽のつがいが贈られたのだという。白鳥とともに鴨や鯉の泳ぐ姿も見られ、静かに憩いの時間が流れている。

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