2013年9月号 彼岸花

2013.09
暑さ寒さも彼岸まで――。高い空の下、心地よい秋風に揺れる彼岸花は、秋の訪れを象徴する花だろう。人里のみに生育する有史前帰化植物であり、田んぼのあぜ道や土手、そして墓地に多く植えられたのは、その毒性によって害獣からの被害を防ぐためであったという。「墓花」「死人花」「地獄花」…不吉な異称も多く持つが、最も有名な「曼珠沙華」は極楽に咲く天上の花を意味する。
彼岸が春分・秋分の日を中心とするのは、太陽が真西に沈み、西方十万億土の彼方にあるとされる極楽浄土の方角がはっきり分かるから。故人を偲ぶ季節の変わり目。彼岸は仏教の教えと自然信仰が結びついた、日本独特の習慣である。

イラスト/北杜市白州 清泰寺




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